小規模事業者がキャッチコピーを作るならどのような言葉が良いでしょうか? 英語?それとも 何となく耳障りの良いフワっとした言葉?
✅ この記事で具体的に分かること
✅ この記事を書いた人
新潟の魔法の名刺屋 佐藤 たかあき
営業〜現場までこなす自営業さん向けに売れる名刺を全国対応で作成するフリーランスの広告デザイナー。特に個人・小規模の塗装店・屋根工事店の職人社長さん達からの支持が厚く、名刺だけでなくチラシや看板のデザイン等も数多くお引き受けしています。販促に関するセミナーを全国12都県の商工会・商工会議所様などで述べ133回講演。中小企業庁「ミラサポ」販促専門家登録(平成28年~令和2年)
仕事に繋がるキャッチコピーが望ましい
名刺や看板、チラシやパンフレット、ホームページなどなど、自社のキャッチコピーがあると紙面も引き締まって感じが良いですよね。とは言え、小規模事業者が有名企業のような「英文」や「フワッとした日本語」のキャッチコピーを採用されるのはオススメできません。なぜならば、そのようなキャッチコピーは何となく耳障りが良いだけで、購買行動には直接的に結び付かないためです。
経営者である貴方がすべき事は実利の無いカッコつけではなく、売上アップではないでしょうか。それならば、キャッチコピーは他社と差別化できて仕事に繋がるような言葉が望ましいと思いませんか?
キャッチコピーと聞くと大企業が使っているようなモノを想像しがちではないでしょうか。例えば以下のようなものです。
- Start Your Impossible(トヨタ自動車)
- The Power of Dreams(本田技研工業)
- Zoom-Zoom(マツダ)
- Leading Innovation(東芝)
- Inspire the Next(日立製作所)
- Change for the Better(三菱電機)
- i'm lovin' it(日本マクドナルド)
- JUST DO IT(ナイキジャパン)
- NO MUSIC, NO LIFE(タワーレコード)
- 水と生きる(サントリー)
- 味ひとすじ(永谷園)
- お口の恋人(ロッテ)
- 自然と健康を科学する(ツムラ)
- 自然を、おいしく、楽しく。(カゴメ)
- ひとのときを、想う。(日本たばこ産業)
- やっちゃえ日産(日産)
- 明日の空へ、日本の翼(日本航空)
- 木を植えています。(イオン)
果たしてこのようなキャッチコピーを使って、小規模事業者が売上に繋げる事ができるでしょうか?
前項でお示しした有名企業のキャッチコピー、皆さんどれも一度は見聞きした事がおありなのでは。
英語のキャッチコピーはパッと意味が分からなくても響きがカッコ良く、フワっとした日本語のキャッチコピーも「何か良さそう感・立派そう感」が感じられますよね。
しかしながらこういったキャッチコピーは一定以上の知名度を有する大企業だからこそ使えるものであり、小規模事業者が使っても「???」としかなりません。
例えば…
- JUST DO IT(佐藤工業)
- 明日の空へ(佐藤産業)
だったらどうでしょう?
全く意味が分かりませんよね。何を言うとんねん。とツッコミたくなります(笑)
意味が分からないのですから、仕事に繋がるハズもありません。読んだ方もサラっと流すので、わざわざ意味を聞いてくれる事もありません。
ですので…
- Future Make Company(サトウ商事)
- こだわりを追い求める(佐藤畳店)
知名度の無い小規模事業者が「英語」や「フワッとした日本語」でキャッチコピーを作っても売上には直結しないという事がご理解頂けるのではないでしょうか。
実は有名企業が採用しているキャッチコピーは正確には「キャッチフレーズ」と呼ばれるもので、自社の理念や姿勢を消費者に伝えてイメージアップする目的で使われています。つまり一定程度以上の知名度がある企業が自社のブランド化を狙って使用するのがキャッチフレーズです。それに対し「キャッチコピー」は広告・宣伝として消費を喚起する実用的な目的で使われるもので、同業他社と差別化し売上アップを意識するのであれば「キャッチフレーズ」ではなく「キャッチコピー」を採用するべきなのです。
ちなみに、有名企業であっても「キャッチコピー」を採用している例はあります。
- お、ねだん以上。(ニトリ)
- カラダにピース(カルピス)
- 近くて便利(セブンイレブン)
小規模事業者もこのような「キャッチコピー」を採用されると商売上プラスに働きますよ。ここから先は具体的に解説していきます。
差別化するには?
どのようなキャッチコピーであれば同業他社と差別化し、お仕事に繋げる事ができるでしょうか。
これが伝われば「じゃぁ御社から買おうか」「それなら御社にお願いしようか」となりますのでね。以下では「自社だけが提供できる独自のメリット」が伝わるキャッチコピー例を具体的に見ていきます。
「自社だけが提供できる独自のメリット」と言われると『何か凄いことを言わないないとイケナイかな?』と肩にチカラが入ってしまうかもしれません。例えば以下のようなキャッチコピーです。
- ドコよりも綺麗に(クリーニング店)
- 家電のコンシェルジュ(町の電器店)
- 世界最高品質の塗装で家を守る(塗装店)
- 3日でエクセルをマスター(パソコン教室)
- 全ての人を元気120%に(カウンセラー)
- 技術力で世界に貢献(金属加工業)
いかがでしょう。
悪いワケではありませんが、何だか仰々しくて誇大な印象を受けないでしょうか。このような大袈裟な事を書くよりも、もっと肩のチカラを抜いて考えてみましょう。例えば以下のようなキャッチコピーです。
- どんな衣類でもお断りしません(クリーニング店)
- 相談、修理すぐ行きます(町の電器店)
- 見えない場所まで丁寧に(塗装店)
- 同じ事を何度聞かれても笑顔でお答え(パソコン教室)
- あなたの話を最後まで聞きます(カウンセラー)
- 納期順守。1点物でも喜んで(金属加工業)
いかがでしょうか。
このように大きな事を言うよりも、小さな約束の方がリアルですし誠実さも感じてもらえます。「決して大きなメリットではないかもしれないけれど、これならば最低限約束できる」、つまり「確実に約束できる事」をキャッチコピーとするだけでも独自メリットとしては充分なのです。
本当に他社が真似できない独自技術などをお持ちでしたら、その事をキャッチコピーに採用されると良いでしょう。
実績をキャッチコピーとするのも差別化して独自性を発揮するのに有効です。
例えば以下のようなキャッチコピーです。
- これまで洗った衣類は38万着(クリーニング店)
- 創業昭和45年(町の電器店)
- 塗替え実績300棟超(塗装店)
- 卒業生さん2千人超(パソコン教室)
- ○○大学でも講演(カウンセラー)
- ○○橋は当社の加工部品が支えています(金属加工業)
いかがでしょうか。
実績は自社でしか言い得ない事であり、手っ取り早く他社と差別化できます。そして実績が伝われば『これほどの実績があるなら、ここにお願いすれば間違いないだろう!』と思ってもらえますよね。
また、「○○高校」や「○○橋」のように誰でも知っていそうな言葉が含まれていると、その知名度に便乗する形で信頼感を高める事ができます。
お客様に言われたお褒めの言葉をキャッチコピーとして採用するという方法も差別化に大変有効です。例えば以下のようなキャッチコピーです。
- お婆ちゃんちに来たみたい(旅館)
- こんな楽になるならもっと早く通えば良かった(整体院)
- 勉強するのがこんなに楽しくなるなんて(学習塾)
- 丁寧で安心だった!と評判(引越しサービス)
- 工事が終わるのが寂しいと言われるのが自慢(外壁塗装)
- 優しくて親切で一生懸命(行政書士)
いかがでしょうか。
お客様の声は実際に言われた自社だけが使う資格があるので、間違いの無い差別化方法です。また、お客様の声を元にしたキャッチコピーはお客様が享受できるメリットをリアルな言葉で伝える事が出来て期待感をより高めてくれます。御社でもよくお客様に言われる褒め言葉があれば、それをキャッチコピーとして採用されてみてはいかがでしょうか。
使える会社さんは限られますが、「幸せな○○をサポート」というキャッチコピーもオススメの1つです。例えば以下のようなものです。
- 幸せな企業成長をサポート(コンサルタント)
企業にとって成長する事はそもそも幸せな事ではありますが、それはどのコンサルタントであっても提供している価値・メリットです。しかしながら、単なる成功(企業成長)ではなく、何1つとして犠牲にする事のない成功(企業成長)を提供できるのであれば「幸せな企業成長をサポート」というキャッチコピーをお使いになってみてはいかがかと。
何1つ犠牲にしない企業成長とは具体的にどういった事かと言いますと、ガムシャラに成長を目指すと他の部分(例えば一部の社員や家庭など)が犠牲になり「不幸になっている部分もあるよね。売上アップしたかもしれないけど、トータルで見ると幸せになっていると言い難いのでは?」という事はありがちではないでしょうか。そうではなく「不幸な成長もありますよ。ウチなら何も犠牲にせず、全てが良い方向に行くようにコンサルティングします」というスタンスを伝える為に、あえて「企業成長」に「幸せな」を加えて差別化するわけです。
他にも…
- 幸せな婚活をサポート(結婚相談所)
- 幸せなダイエットをサポート(スポーツジム)
このように成功を提供するご商売で、かつ単なる成功ではなく「何1つ犠牲にしない成功」をご提供できる会社さんは「幸せな○○をサポート。」というキャッチコピーを採用してみて頂きたいなと。
「○○2.0」というキャッチコピーは、他社を圧倒的に引き離していたり、個性が際立っている印象を与える事ができます。例えば以下のような使い方です。
- 高気密高断熱住宅2.0
- 外壁塗装2.0
- エアコンクリーニング2.0
- 看板2.0
- 配送2.0
- お庭2.0
- 整体2.0
- エステ2.0
- 発毛2.0
- 占い2.0
- 婚活2.0
- 塾2.0
いかがでしょうか。
2.0はソフトウェアがバージョンアップした際に用いられるナンバリングですが、そのイメージを借りる形で「一歩先を行っている感」を最小文字数で伝えられるとても便利な言葉です。御社が業界の先端を行っている自信があったり、従来とは異なる新しいアプローチで価値提供されているのであれば「2.0」を堂々と使ってみましょう。また「2.0」と聞くと何がそんなに凄いのか気になるので、質問して貰え易いというメリットもありますよ。
社名で「あいうえお作文」を作ると楽しく独自性を発揮できます。
例えばメッキ加工業「株式会社 小池テクノ」さんの場合…
コ:細かな金属部品を
イ:色々な色にメッキ加工。
ケ:決して諦めないチャレンジ精神と
テ:手を抜かない真摯な作業で
ク:クオリティの高いメッキ処理を
ノ:納期厳守でお届けします。
といった具合です。
悪くないでしょう。
他にも塗装店「メイクハウス」さんなら…
メ:目を覆いたくなるほど傷んだ外壁を
イ:一生懸命手塗りで塗替えリフォーム。
ク:クチ下手で押しの弱い職人ですが、
ハ:半端な仕事は絶対しません。
ウ:上塗り・中塗り・下塗りの3回塗装で、
ス:住まいの長持ちをお約束。
といった具合。
なかなか面白いでしょう。
キャッチコピーとしては少々長い文章になってしまいますが、様々な言葉が入る事で嫌でも他社と差別化できます。ちょっと考えるのが大変ですが、頭の体操としてお考えになってみてはいかがでしょうか。あいうえお作文でのキャッチコピーは単純に面白がってもらえますし、自社の仕事に対して愛がある感じもして好感を持たれるような気が致します。
ここまで差別化できる会社のキャッチコピー作成方法を6つほどご紹介しましたが、プラスアルファの要素としてキャッチコピーが「七五調(しちごちょう)」になっていると語感が良くて最高です。七五調というのは「俳句」「和歌」「川柳」のように5文字と7文字の組み合わせで成り立っている文章で、日本人には心地よく響き記憶にも残り易いという効果が期待できます。
最初から七五調を意識する必要はありません。まずは文字数を気にせずキャッチコピーを考え、それをどうにかして七五調に変換出来ないか言葉使いを検討してみて下さい。七五調になったからと言って同業他社と差別化できるワケではありませんので、無理やりに七五調にする必要はありません。可能であれば七五調にしてみては?といった程度の話であると受け止め下さいね。
以上、同業他社と差別化できる小規模事業者のキャッチコピー作成法でした。
本記事はこれでおしまいです。
ナイスなキャッチコピーが出来たら名刺に載せよう☆
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